以前、地元の植物専門店で衝撃が走るほどの植物と出会うことがあった。
【カンテ】とよばれるその植物は、エケベリアの中の女王と呼ばれる存在で、その見てくれは名前に負けずものすごく美しく、そしてどことなくクールな印象。
まさにクールビューティな女王と言ったところだろう。
この時受けた衝撃は異質で、まるで恋に落ちるかの如く私はカンテから目を離すことができなかった。
もちろんカンテ様には貢いだが、ダメだったことはいうまでもない。
このように、稀にだがある生物に対して強烈で異常なまでの興味を持つことがある。
グラキリス、ゲンゴロウ、ジュエルオーキッド等何点かあげることができるが、ダンゴムシ界にもかなりの衝撃を与えてくれた興味深い生体がいた。
それが【アイボリースパイキー】。
象牙色のような白い体色、世に訴えかけるような反抗的でパンクなボディ、そしてそのボディに似つかわしくない円らな瞳。
なんじゃこりゃーーーーーーーーーーー。
【ジュピター】の美しさも衝撃的であったが【アイボリースパイキー】はまた違って、彼にならいくらでもお金を出せると感じた。
結局【アイボリースパイキー】について相当興味を持ち、ネットショップをはじめとするいろんな店舗を探すこととなった。
癒しでパンクなダンゴムシ「アイボリースパイキー」
アイボリースパイキーの存在を知ったのは2023年の秋口だ。
ジュピターの美しさに惹かれSNS上のダンゴムシ界隈を彷徨っていたところ、とあるアカウントがアイボリースパイキーの写真をあげていたのを目にしたことがきっかけだった。
パンク風のトゲトゲのボディ。
反抗的な体に似つかわしくないような大きな大きなつぶらな瞳。
透き通るように白いその体は、幸せを運ぶUMA「ケサランパサラン」やクレ〇ンしんちゃんのシロを彷彿とさせるような風貌をしていた。
アイボリースパイキー購入決意まで
衝撃だった。
なんという愛らしい風貌。
即購入を決意した。
もちろん高いのは分かっていたが、この【アイボリースパイキー】というすごく珍妙なダンゴムシは今後のダンゴムシライフのメインキーとなるだろうとインスピレーションが働いた。
とはいえ、なかなか取り扱い店舗がないのも事実で、以前からお世話になっている「DNG64」さんや、ダンゴムシ界の大手「おだんごくらぶ」さんですら販売している形跡がなかったのだ。
どうやら後で分かったのだが、このような珍しいダンゴムシは、爬虫類フェスや昆虫即売会などマニアの集う場所で取引されることが多いようだ。
だったら…
マニアの集う場所に行くしかない。ネットでマニアの取引が行われている場所。
そう…「ヤフオク」だ。
ヤフオク?即売会?アイボリースパイキーを購入するならどこ?値段は?
一番安全な場所は「即売会」での購入が間違いないだろう。
そもそもアイボリースパイキー自体がかなり高額な所なのでヤフオクで購入するにはかなりリスクを伴う。
特にヤフオクは配送手段の分からない素人もいるだろうし、なんといっても詐欺が横行している場所でもある。
このような点を踏まえ「即売会」での購入が一般的だろうといいたいところだが、あまりの欲しさにリスクを冒してヤフオクでの購入を決意した。
ヤフオクでアイボリーダンゴムシと検索すると、少数ではあるがヒットする。
その中で見つけた「アイボリースパイキー10匹4万円」の文字。
高い!!
正直、簡単に出せる様な額ではなかった。
即売会ならともかくヤフーオークションとなればそのリスクは格段に高くなる。
輸送は大丈夫なのか?販売人は安全か?
こうした不安がよぎったので、すぐに販売者であるアカウントを調べてみた。
「ワラダンキングダム」
この時点では安全かどうかは分からなかったが今となっては購入してよかったと考えている。後にも説明するが「ワラダンキングダム」さんは優良な販売者だった。
さてこの時点でのリスクは分からいないとはいえど、欲しいと思ったダンゴムシをみすみす逃すわけにもいかない。かなりリスクが高いとしりながら購入を決意した。
4万円💸
ほぼほぼ賭けの金額だ。
アイボリースパイキーの基本データ
さてワラダンキングダムさんからの購入を決意して、ここでアイボリースパイキーに関しての情報を少し調べてみたのでデータを載せておきたい。
【名前】
アイボリースパイキー
【学名】
laureola sp “ivory spiky”
【飼育難易度】
難しい
【繁殖難易度】
比較的簡単
【生体費用】
20000~50000(5匹~10匹)
【食性】
雑食。腐葉土メイン?
アイボリースパイキーの魅力はなんといってもその特徴的なボディ。
そしてダンゴムシとしては比較的素早くよく動く種類だ。
繁殖も一度定着してしまえばなかなか早いサイクルで繁殖するようだが、初期落ちに関してはほぼほぼ免れることはできないといっても過言ではない。SNSを見る限りアイボリースパイキーだけでなくラウレオラ系は初期落ちで壊滅してしまった例を多く見ることだ出来る。
いかに落とさず飼育することができるか?
これがラウレオラ攻略の道でないかと感じる。
到着から繁殖まで。アイボリースパイキー飼育は面白い。
2023年10月24日。
購入していた「アイボリースパイキー」が届くこととなる。
待ちに待ったアイボリースパイキー。季節は秋の終わりということもあって気温は低くなっている。ワラダンキングダムさんはこういう状況にでも耐えれるよう、温度調整や受取時期などを調整してくれる。
そして予定時間に届いたのでさっそく開封。
2023.10.24 アイボリースパイキー到着
夜、アイボリースパイキーの入った小包が届く。
梱包に至ってはまったくの問題なく、死着も1匹といったところだ。
死着1と聞けば聞こえの悪いように見えるが、そもそも初期落ちしやすいアイボリースパイキーを死着1で輸送できたのはかなり凄いことだと感じる。また偶然かサービスかアイボリースパイキーのベビーも2匹確認できたので実質は11匹である
さすがワラダンキングダムさん。
ヤフオクにはリスクもあるがそれなりのリターンもあることを忘れてはならない。
さて…届いたアイボリースパイキーの様子だが
小っさ!!
そう。アイボリースパイキーは結構小さい。
ただボディは小さいものの棘が長いので迫力はある。
そして目がデカい!!
最高。やはり購入してよかった!
この綿毛のようなケサランパサランのような不思議な見た目が最高すぎる!
変態が発症しそうなので少し抑えていこう。
2023.10.24同日 飼育環境調整
アイボリースパイキーに関しての文献はそう多くない。
海外の文献も読ませてもらったがなかなか見つからず「繁殖後のベビーは弱いが、ベビー期を抜けたら強くなる」といった短編的なものばかりである。
さて、飼育環境はどうしたものか?
ここでワラダンキングダムさんに相談してみる。得られた答えはこうだ。
ーアイボリースパイキー飼育に関してー
・ラウレオラは空気中の湿度が必要で70%保つと良い
・ただし湿った地面は嫌うので空気中の湿度の実の調節がベスト
・風通しを好む。横からの通気と立体性を意識すると言い
・温度は24~26℃がオススメ
・エサは熱帯魚の餌でOK
これが得られたヒントなのだが実はこの他にも飼育をしていてわかってきたことがあるので、そのあたりはいつか残していこうと思う。
さて、このヒントを元にアイボリースパイキーの飼育環境を作っていくのだが、私が作成したゲージは下記のようなものだ。
加工の元となっている飼育ケースは、マルカンの「SAMURAI クリアスライダー」
ふたの部分はルーターを使い下図のように加工した。
左側に大きい穴をあけていき、右に行くにつれて穴の大きさと数を少なくしていく。
次にケース部分。
大きく左半分を乾燥地帯。そして右半分を湿地帯としている。
湿地帯にはミズゴケを敷き加水し、乾燥地帯のほうはケースの左端に穴をあけ通気性をよくすることにした。
なお、ラウレオラに関しては壁を上ることもあるようなので自己責任でお願いしたい。
最後に今回使用した材料の一覧表を書いておく。
ー飼育環境ー
・ケース
SAMURAI LIFESTYLE スライドケース クリア 小(マルカン)
・床材①
The腐葉土(邑楽ファーム)
・床材②
パームマット(ポゴナクラブ)
・床材③
爬虫類用ミズゴケ(ダブリューアールシー)
・隠れ家
コルク(※出元不明のものは殺虫剤散布の可能性あるので注意)
・エサ
テトラミン
・エサ皿
ペットボトルキャップをダンゴムシが入りやすく加工したもの
2023.10.31 アイボリースパイキー購入から1週間
上記で設定したケース。通気性加工が功を奏したのか生きとる!!
初期落ちは輸送時以外ほとんどなく、購入から1週間目順調である。
幼体の方も順調に見えるが、サイズがあまり変わらない気がする。
アイボリースパイキーは案外丈夫であるかもしれない。
2023.11.22 順調だったアイボリースパイキーが…
やはりマジックポーションのようには行かなかった。
気づいたらあっという間に2匹落ちた。
さらには、幼体の姿がどこにも見えずいつの間にか消えたという感じだ。
悲しい。これは悲しすぎる。
気づけば7匹という窮地に…
原因としては、やはり湿度だろう。ミズゴケを湿らせて加湿するのは少し無理があったのか。しかし加湿の方法はそれしか思い当たらないのでもっといい方法を知りたいばかりである。
ちなみに死に方は綺麗だし脱皮の殻はみかけるので脱皮不全ではないようだ。
そして幼体。
幼体に関しては原因がなんとなく分かるような気がする。
「糞」だ。
幼体は成体の糞を食して消化器官を慣らしていくのではないか?という推測がダンゴムシ界の中ではあるらしい。
実際数人に聞き込みを行ってみたところ、「幼体が糞を食べているのを目撃した」という声は多かった。
今回、輸送されてきた幼体はまだ成体の糞が少ない中で生活していたから溶けてしまったのではないだろうか?
真相は闇の中だがおそらくそれも一つの要因の気がする。
2023.12.05 アイボリースパイキー難しい!
11.22の時点で順調に星になっているアイボリースパイキーであったが…
なんとこの時点で5匹に。
まずい。5匹はまずい。それにアイボリースパイキーまったく繁殖の予兆がない。エサは食べてくれてるのに…
大丈夫なのか?
2023.12.07 アイボリースパイキー繁殖成功!!
完全に終わったと思っていたアイボリースパイキー。
しかし、この日とうとうベビーの確認ができた。
しかも10匹!!!
いやーおめでとう!
まじで長かった。そしてハラハラした。
噂には聞いていたのだが、やはりラウレオラ種は非常に難しい。
なんといっても謎死が多い。
これは初期導入が5匹だったら完全に終わってたわ。
またWC(野生採取のワイルド個体)だったのも謎死に拍車をかけていたのかもしれない。
本当CBって偉大なんだなとCB繁殖させたことないながらに実感。
しかし、なかなか嬉しい。結構なレア種に挑戦するのは初めてだったのでこの経験はかなり貴重な経験になりそう。
アイボリースパイキー飼育してよかった!そしてワラダンキングダムさんをはじめにサポートしてくれたかたありがとうございます。
考察と今後の方針
アイボリースパイキーの飼育と繁殖。これは私にとって非常に貴重な経験となった。
ー考察ー
・繁殖までは1か月前後
・初期導入時や輸送時はかなり星になりやすい
・通気性が大切
・産む数は5匹~10匹あたりが目安?
ー改善点ー
・湿度調整の方法をもう一度考える⇒側面に脱脂綿を付ける構造にする?
・幼体飼育に糞が必要かも⇒糞がたまった環境で飼育
これからのダンゴムシライフにおいても、今回得た知識は必ず影響してくるだろう。
とはいえ、次は幼体をいかに成体に成長させるかが課題になってくる。ここで幼体が落ちてしまってはアイボリー普及はまた振り出しにもどっていく。気を付けていこう。
次は今回生まれた幼体の成長記や次の個体の繁殖日記ということで、またお会いしましょう!
では!
コメント
コメント一覧 (2件)
はじめまして。
貴重な情報をありがとうございます。
最近ダンゴムシに興味を持ち動画やらSNSやらを当たっていたところ、アイボリースパイキーを見かけ、その可愛らしさにやられてしまいました。
飼ってみたいと思いながら、飼育に関する情報が乏しく探していたところ、ダンゴムシマガジン様に行き当たり、色々と知ることができました。
お気に入りに登録させていただきましたので、ちょくちょく寄らせていただけたらとおもいます。
自分も暖かくなったらチャレンジしたいです。
続きも楽しみにしております。
よろしくお願いします。
コメントありがとうございます。
最近更新できていないですがこれからもダンゴムシの飼育方法や面白い情報を提供させてえいただきますので、
どうぞよろしくお願いします。