【飼育記録】ダンゴムシ飼育においての基本種マジックポーション。ダンゴムシ育成の楽しみを教えてくれる最初の1匹。

マジックポーション飼育記録

ダンゴムシ飼育。

誰しもが幼少のころ通る道ではないだろうか?

大人になりダンゴムシと疎遠になっていく中、密かにそういう界隈がにぎわっているということを知った。

2020年の九州爬虫類フェス。爬虫類をメインとして取り扱う即売会なのだが、この即売会がダンゴムシ飼育を知るきっかけとなった。

この頃販売されていたダンゴムシは奇蟲じみたものが多かったと思う。

【モンテネグロダンゴムシ】【ペラッカエ】などあまり美しいとはいいがたい、少し派手な野性味ある毒々しいダンゴムシがメインだったのだ。

ハマる人にはハマるであろうそのフォルムに奇蟲好きの私も魅了されたが、正直「流行らせる」には程遠いだろうと感じた。

しかし、2023年。久しぶりに行った九州レプタイルで「ダンゴムシブーム」の可能性を感じることとなった。

目次

ダンゴムシ界隈の基本種「マジックポーション」

2023年。九州レプタイルにて見ることのできたダンゴムシは非常に美しいものだった。

過去の記事やコンセプトにも何度も書いたが、この時私が惚れたのは【ジュピター】と呼ばれるダンゴムシだ。

これまで出会うことのあった奇蟲じみたダンゴムシとは少し違い、その実物の美しさときたらすぐにでも人に伝えたいほど。

他にも、【ホワイトシャーク】と呼ばれるダンゴムシや【スピノサス】と呼ばれるダンゴムシなど、カッコよく滑稽なダンゴムシをたくさん知ることができた。

この時すぐにでもダンゴムシ飼育に踏み出しておくべきだったと今になって少し後悔しているが、

それでもやはり、しっかり準備を経て踏み出したことに関しては良かったとも感じている。

というのも、ダンゴムシ飼育は思った以上にシビアだったからだ。

生態のよくわからない甲殻類を手探りで攻略していく。間違えたら全滅させかねない研究のようなものに数千、数万なんて払う度胸がない。

まずは、お金をかけずに基礎から学んでいこう。

こうしてダンゴムシ飼育に関して調べていくうちにたどり着いたのがダンゴムシ界の基本種【マジックポーション】なのである。

マジックポーションの購入決意

【マジックポーション】はダンゴムシ飼育において最も基本種と呼ばれているほど、基礎的なダンゴムシである。

それもそのはず…

彼らは日本に生息するなじみ深いダンゴムシ【オカダンゴムシ】の色変個体だからである。

【オカダンゴムシ】は日本の環境に慣れていながら、元はといえば海外からやってきた外来種。

つまり日本の環境に適応しているだけでなく、元々が相当強い。

こんな【オカダンゴムシ】の色変個体というのだから、飼育しやすいというのは納得できる。

さて、九州爬虫類フェスから帰宅後、私は取りつかれたようにダンゴムシ飼育についてスマートフォンで調べていた。

「ダンゴムシ 飼育 初心者」

「ダンゴムシ 飼育 簡単」

検索すればでるわでるわ【マジックポーション】。

サイトに飛んで【マジックポーション】の画像を確認してみると、うん。

悪くない。

ダンゴムシ

白をベースとしたボディに、黄色と黒のドットが、

まるで「のりたまふりかけ」のように散りばめられている。

ダンゴムシというよりはオニギリムシではないか。

見た目も悪くなければ、飼育もしやすい。これは絶対買う必要があるだろう。

こうして私はマジックポーション購入を決意した。

マジックポーションの基本データ

まずはマジックポーションの基本データについて記しておこう。購入したい方は是非これを参考にしてほしい。

【名前】
  マジックポーション

【学名】
  Armadillidium vulgare ”Magic Portion”

【飼育難易度】
  簡単

【繁殖難易度】
  やや簡単

【生体費用】
  800~2000円(5匹~10匹)

【食性】
  雑食

マジックポーションの飼育の魅力は何といっても、飼育難易度が優しいことと初期費用がかからないことだろう。

ダンゴムシを始める初心者にはうってつけの種だ。

もちろんマジックポーション飼育が、完全に他の種にも通用するかと言われれば答えはノーだが、ここで学んだ湿度管理や温度管理、繁殖経験は必ず別種飼育の際に活きてくるだろうと私は感じる。

マジックポーション購入の場所

さて、マジックポーション購入を決意し飼育データを集めたはいいが、今度はどこで購入するかが悩みとなってくる。

一番いいのはショップに自ら出向いて生体を確認して購入するのが一番だろう。

しかし、ダンゴムシに限ってはそうもいっていられない。大手ペットショップじゃほぼほぼ取り扱ってないのだから。

「どうしよう…」

そう考えたときに、必然的に候補として挙がるのが①専門店での購入、②ヤフオクでの購入となってくる。

最も安く買いたいのなら②のヤフオクでの購入に限るだろう。しかし右も左も分からない当時の私からすると①専門店での購入が一番安牌である。

今回はDNG64さんを利用させていただいた。

ダンゴムシの先駆者である専門店は、知識が豊富で、配送時間や飼育方法の相談にもしっかり乗ってくれる。分からない場合は専門店で購入したほうが安全だろう。

到着、飼育、繁殖。飼育して分かるダンゴムシの面白さ

マジックポーションに関しては2023年の秋口にDNG64さんから購入した。

2023年10月初旬。

私の手元にマジックポーションが届いた。

2023.10.17 マジックポーション到着

この日の昼、DNGさんから小包が届いた。

DNGさんのような専門店での生体購入に関しては初めてだったので少し不安があったがやはり専門店で購入して間違いなかったと思う。

包装に関して完璧であるし、なによりパッケージが可愛い。DNGさんの可愛らしいロゴがついたこのプリンカップは正直捨てるには惜しいほどだ。

さらに「初回特典」までも付いてくるのだから、専門店を選ばない理由がない。

プリンカップを開封すると、ニョキっとマジックポーションが挨拶をしてくれた。

さっそく手に取って確認。

可愛いマジックポーションのために飼育環境を整えることとする。

ー飼育環境ー

・ケース GEXメダカ元気 稚魚卵観察ケース(廃盤)

・床材① The腐葉土(邑楽ファーム)

・床材② パームマット(ポゴナクラブ)

・床材③ 爬虫類用ミズゴケ(ダブリューアールシー)

・隠れ家 コルク(※出元不明のものは殺虫剤散布の可能性あるので注意

・エサ テトラミン

・エサ皿 ペットボトルキャップをダンゴムシが入りやすく加工したもの

さて、ネットの情報を駆使してこのような飼育環境を整えたが、果たしてうまくいくのだろうか?

マジックポーションに関してはケースなどは小さくても良いようだが、一番注意するポイントとすれば床材と隠れ家だろうか。

この2点に関しては、農薬散布や添加剤が購入してある危険性もあるので店員などに聞いてみる必要がある。

2023.11.17 マジックポーション購入から一か月経過

飼育環境に問題はないのか至って順調だが、正直驚いたことが2つある。

1つは、あまりにも丈夫すぎるということだ。

湿度を与えすぎても、少しくらい乾燥させても全くへこたれる様子がない。ゴキブリまではいかないまでも、それに匹敵するほどの丈夫さはある。この機会に感覚での湿度管理を覚えていくことが大切だ。

2つ目は、全然繁殖しないということ。

ダンゴムシは繁殖しやすい生物であると聞いたことがある。しかし、マジックポーションはなかなか繁殖してくれない。

というか気配すらない。

ここにきて文献には書かれていない現実を思い知ることとなった。

有識者にこのことについて確認すると【オカダンゴムシ系】つまり【Armadillidium】という種は繁殖こそ遅いものの爆散スイッチに火が付くと大量繁殖することが可能とのこと。

つまり、どれだけダンゴムシを長期飼育できるか、そしてどれだけ環境に適応させることができるかが、マジックポーション繁殖のキーなのである。

長期飼育を心がけ、湿度管理を怠らないこと。この基本的なお世話こそ繁殖への近道なのだろう。

2023.12.01 マジックポーション購入から1か月半経過

さらにそれから2週間ほど経過をした。

ダメだ。繁殖の気配すらない。

本当に気配がないか、念入りに幼体を確認するもやはりいないようだ。

本当に気配はないか?思い当たる節を探してみる。

そういえばいくつか思い当たる節があった。

まず最初にエサの減りが早いということ。

エサは動物飼育における重要な管理指標を私は考える。

クワガタの後食にせよ、なんにせよ、エサの減りがいいということは、環境に馴染んでいるか、産卵や冬眠等の一大イベントの前のどちらかの可能性が高い。

少なくとも環境には馴染んでいるだろう。

そして別の思い当たる節。

それがメイトガードと呼ばれる行動だ。

メイトガードとは交尾後のオスがメスの上に乗っかり外敵から守る行為で所謂マーキングのようなもの。

またメイトガードとは別の似たような行動として、オスがメスの目を隠してプロポーズするという習性もあるようだ。

実はこのメイトガードだかプロポーズだかをこの期間中に確認している。

繁殖成功までもう少しなのだろう。

2023.12.13 マジックポーション購入から2か月

生物飼育の醍醐味は大きく分けて2つに分けることができる。

1つは生物とコミュニケーションを取ること。

犬や猫が芸を覚えたり、すり寄ってくるのはかなり嬉しいし、手からエサを与えることができただけでも相当な喜びに値する。

そしてもう1つの醍醐味は、飼育している生物を取り巻く環境に異変が起きたとき。

もちろんこの異変とはケガや死を意味するわけではなく、よい異変だ。

例えばその生物の好みの餌が分かったり、習性が分かったりするとかなり嬉しい。

そして増えることもまた、この醍醐味に分類されるのではないだろうか。

マジックポーションから2か月。いつものように飼育ケースの蓋を開けると、なんと…

幼体確認!!

きたーーーーーーー。

マジックポーション繁殖成功。

もしかするとこれを見ている方の中にはベテラン飼育者もいて、「マジポくらいで何をそんなに喜んでいる」と思われるかもしれないが、この繁殖成功体験は初心者の私にとってはひとつの区切り線みたいなものであるので、本当に嬉しい。

一番最初に購入したマジックポーション。

ダンゴムシの基本とよばれるマジックポーション。

SNSを利用してDNG64さんを含む多くの人にサポートされてクリアしたこの経験は今後必ず他のダンゴムシ育成に役立つだろうと感じる。基本的な飼育方法は間違ってない。

それが実感できただけでもかなりの成長。

サポートしてくれた方々本当にありがとうございました。

考察と今後の方針

今回マジックポーションを飼育してみて、いろいろな事を知ることができた。

以下得た情報をまとめてみることにする。

ー考察ー

・繁殖成功まで2か月は見た方がいい

・エサは熱帯魚の餌、葛の葉、カルシウム、腐葉土をぶち込んでいるといい

・マジックポーションはかなり丈夫

・繁殖ペースは比較的遅い方。しかし産むとかなりの数生まれる

・湿度は多くても少なくても死なないが、すこし湿り気のある方が安心で管理が楽

ー改善点ー

・湿度が多く綿状のカビが生えた。⇒アカイボトビムシを共存させる

マジックポーションの飼育は予想以上に面白かったし、でも予想以上に退屈した。

なかなか変化のみられる種ではないと思うので、別のダンゴムシと並行して飼育することをオススメする。

次にマジックポーションの日記を書くときは幼体の成長記録になるだろう。

では。

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この記事を書いた人

九州出身の会社員。
ダンゴムシのフォルムに魅了され『ダンゴムシマガジン』を作成するに至る。
アイボリースパイキー、ジュピター等多数飼育。
その他自然散策が趣味。

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